パラレルキャリアという働き方
ナカムラ クニオさんのパラレルキャリアを読破した。
自分の中で、2017年現時点でトップ3にはランクインするお勧めの一冊となった。
パラレルキャリアとはなにか?
パラレルキャリアという言葉は、ピーター・ドラッカーが提唱している新しい働き方のひとつで、本業の仕事を一生懸命こなしながら、それとは別に自分のやりたい夢の仕事を実現し、互いの相乗効果で生きがいを感じる働き方、と本書では述べている。
近年では、副業が目立つようになってきた。SNS上では当たり前のようにビジネス情報が飛び交うようになり、一般企業も副業を認めるようになってきた。これが既に常識化されつつあり、1つの会社で1つの仕事だけしていくという働き方は現代日本にとってリスキーで、企業側としても面倒が見きれないから独立して働いてくれと言っているようなものである。もちろん、それだけの理由ではなく別の仕事で得たスキルを本業で活かし、新たな創造価値を会社にもたらしてほしいという願いもあるだろう。
仕事の種類は大きく3つに分類されると言われている。
1.ライスワーク(食べる為の仕事)
2.ライフワーク(人生を賭けた仕事)
3.ライクワーク(趣味を活かした仕事)
この3つのバランスが大事。
このバランスを考え働き、成功した人を本書では多数挙げていたが、ここでは2人挙げたいと思う。
1人目は、明治の女性作家、今は5000円札の樋口一葉。樋口一葉は21歳の時『うもれ木』で文壇デビュー。しかし、生計を立てる為に家庭用の雑貨を売る『荒物屋』をライスワークとしてオープンし、慣れない仕事をしながらライフワーク+ライクワークである小説を書き続けた。
2人目は、有名小説家の村上春樹。村上春樹の場合は、ライスワークのジャズ喫茶、ライフワークの小説、ライクワークの音楽。この3つがバランスよく混ざり合って成功した。
特に僕が着目したのが村上春樹の働き方だが、これこそまさにパラレルキャリア。
相乗効果を生み出し、それぞれの仕事に+αしていく。
自分の能力を信じて、自分だけが答えを知っている世界を作ればいい。
これが自分自身のコアバリューとなる。そして、このコアバリューが人に感動を与え続け自分の価値も上がり続けることになる。
パラレルキャリアの重要なポイントは、人生の勝ち組でもなく負け組でもなく、【価値組】を目指すこと。
以下より、本書から抜粋。今回はかなりのボリュームとなった。
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2025年の労働環境を予測した結果、『漫然と迎える未来には孤独で貧困な人生が待ち受け、主体的に築く未来には自由で創造的な人生がある』という。
1.テクノロジーの進化
2.グローバル化の進展
3.人口構成の変化と長寿化
4.社会の変化
5.エネルギー・環境問題の深刻化
これらによって、大量生産、大量消費を前提とした働き方から『情熱を傾けられる働き方』へ移行していく。所得を増やし、モノを消費するために働くのではなく、ゆっくりした豊かな暮らしのために働く。そんな働き方を誰もが模索している。
≪将来、生き残る仕事≫
1.マーケター(商品に付加価値をつけて、市場に合わせて売る人)
2.イノベーター(まったく新しい仕組みを創造できる人)
3.リーダー(自分が起業家となり、みんなを統率して行動する人)
4.インベスター(投資家として市場に参加する人)
5.マーチャンダイザー(マイクロビジネスでも市場を開拓する人)
創造性を必要としない仕事は、すべて機械で十分。人間は機械にできないクリエイティブな仕事に集中するべき。
何に仕事を奪われるか?
・労働賃金の安い外国人が流入
・ロボットなどの機械の導入
・そもそも仕事自体が不要な世の中に変化
自身が【かけがえのない存在】として社会の中で感謝され、必要とされるような≪要る場所≫とはどこにあるのか。これが未来の働き方を考える上で重要なポイント。
・サンドイッチの法則
サンドイッチは、パンとハムが誕生してから、2000年以上経った後のこと。
組み合せが世界を更新させている。
どんなアイディアも組み合せでできている。
【混ざらないものを混ぜるべし】
レオナルド・ダ・ヴィンチ
≪知識は【足し算】から生み出す】≫
≪知恵は【引き算】から生み出す】≫
・Rule of Three(3の法則)
主に【決める時】【伝える時】【話す時】
4つ以上になると覚えられずに混乱しやすいけど、2つだと物足りない。つまり、最も伝わる数字、それが『3』。
・8つの計画を考える
・always(いつもやること)
・hourly(毎時やること)
・daily(毎日やること)
・weekly(毎週やること)
・monthly(毎月やること)
・yearly(毎年やること)
・life(一生かけてやること)
・never(決してやらないこと)
・目標と目的をはっきりさせる
目標は数値で表すことができ、目的は数値で表現することはできない。
目標は目的に至るための過程なので、目標をクリアしなければ近づくことはできない。
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最後に、副業という言葉に関して『副業』と『複業』しか知らなかった。
僕の中で、『副業』は自分が好きなことやスキルとは関係なしに完全にお金稼ぎを目的としたイメージで、『複業』は本業レベルで自分が情熱を持って打ち込める、相乗効果に適した『業』のイメージとして根付いている。
そして本書を読んで、新たに知った『福業』という言葉。
自分自身を楽しむことこそが、人生最大のエンターテイメントとして語られており、ひとつの仕事がもうひとつにいい影響を及ぼし、脳内で『ひとり化学反応』を起こす働き方として述べられている。
仕事同士の相乗効果によって、自分の可能性を無限大に引き出す。
この『福業』という言葉が、自分の中で一番しっくりきた。
幸福の福と、業を成すで『福業』。
言い方は全く同じなのに、こうして漢字を書き換えるだけでイメージが一変する。
【働き方】について、また新しい価値観を得ることができた新鮮な一冊だった。
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